2021/06/06 17:45
「さよなら パリ、お前 親愛なる都会よ、
私たちはいよいよ今日でお別れだ、
・・・
この胸の中のドイツの心臓が
急に病気になったのだ、
これを療すことのできる医者は
故郷の北の国にたつた一人しかゐないのだ。
・・・」
(ハイネ『冬物語(Wintermärchen)』序詩より 井汲越次訳)
パリの街の中に、ハイネ通りがあったように記憶しています。
若い時は、ローレライのハイネには興味なしと思っていましたが、
近年好きになってきました。
詩人の生きた背景ふくめ、まっさらな気持ちで眺めると楽しいです。
今回、改めて読んでみて、
アーヘンの聖堂も描かれていることに気付いたのは嬉しい発見でした(第三章)。
死ぬまでに一度アーヘンの聖堂を訪ねることは夢です。
もちろん、この詩に主役級に登場する建築物は、ケルンの大聖堂です。
教えを受けた建築史の先生の影響が強く、ケルン(ドイツ)のゴシックに深く思い入れが湧かないものの、
19世紀はじめドイツ文化史を語る上で避けて通ることは出来ないのが、ゴシックリバイバルとナショナリズムと、
その象徴としてのケルン大聖堂ですね。
作曲家でピアニストのリストも、ここには登場しています。
「大フランツ・リストがドームのために演奏したところで無駄だらう!
・・・
ケルンのドーム、こいつはなかなか完成しない
・・・」
(第四章より 井汲越次訳)