2021/12/16 18:20
「いぎりす二ふつかートイフ大植物学者ガアリマシタ。」
本のデータどりをしていて驚きました。
一冊の本のあまりの状態の悪さに、ページをパラパラとめくってため息をついていましたら、
上の記述に出会ったのです。
昭和3年に文芸春秋社から刊行された、
『小学生全集』27巻『日本世界偉人画伝』の中の26ページです。
植物学者のジョセフ・フッカーが取り上げられているではありませんか。
ヒマラヤのシャクナゲの図譜などで重要な人です。
フッカーの「ひまらや紀行」は、ダーウィンの「ぴーぐる号探検記」と並んで、
「学問ノ上デモ、ソシテマタ旅行ノコトヲ書イタ本ノ中デモ、名高イモノノウチデモ、殊ニ名高イ良イ本デアリマス」
とのこと。
その前のページは、小林一茶、そのさらに前にはマルティン・ルター(「まるちん・るーてる」)、フッカーの後には、宝井其角、イプセン(「いぶせん」)、渡辺華山、ムッソリーニ(「むっそりに」)などなど、古今東西さまざまな人物が。音楽家ワグナーの姿も見えます。しめくくりはチンギスカン(「成吉思汗ジンギスカン」でした。チンギスカンは、1940年ごろに映画が制作されることと関係あるのでしょうか。
近代日本の教育書に取り上げられた博物学者のことで、最近驚いたことがもうひとつ。
明治6年から文部省によって発行された錦絵(いわゆる教育錦絵)に、
鳥類学者オーデュボンが登場しています。
大手町書架の周辺でのクリスマス展は、日曜日まで、残り三日となりました。
フランスとドイツの子どもの本を、ギャラリー店主の清宮伸子さんと展示しております。