2022/01/31 11:48

『感泣亭秋報第16号』が入荷しました。
立原道造ゆかりの人々によって刊行されている同人誌です。


(写真は、『四季』昭和10年4月号より)



弊店の目録2号発行に協力してくださった蓜島亘さんも寄稿されています。


「本や雑誌などに書かれたものを研究する場合、留意すべきは、何が書かれなかったか、そしてその理由はどこにあるのかということである。話者にとって都合の悪いことは書かないかもしれないし、記憶違いも多くある。また、同時代の発言者はその時代に既知の物事を省略する傾向にある。研究とはそこに漏れたものも含めて、掬い上げ、時代を再構成する作業なのだが(・・・)」(蓜島亘「附記―若杉美智子「雑誌『未成年』とその同人たち」に寄せて」『感泣亭秋報第16号』2021年、182頁)


今年度は、金沢工業大学で講義をさせていただいていたのですが、
先週水曜日が最後の回でした。
ちょうど、「時代や場所が変われば、有名なものも無名になること」について話をしたところです。


蓜島さんが記された、「同時代の発言者はその時代に既知の物事を省略する傾向にある」、
つくづく思い当たります。当たり前のことは書き残されないが故に、
時代を経ると忘れられてしまうものだと思います。


また講義では、自分だけが知っている資料を探す楽しみや、
「引用」や「模倣」についても話しました。
若い学生さんたちには熱心な反応をいただき、とても嬉しく思いました。