2022/02/10 22:58

「「生きた」貝殻にくらべて、なんと死んだ貝殻の多いことか。
貝のすむ貝殻にくらべて、空っぽの貝殻のなんと多いことか」
(ガストン・バシュラール『空間の詩学』岩村行雄訳、思潮社より)


今日のデータどり、
なつかしいバシュラールの本、
若いころ好きだった貝殻のページを思わずめくって眺めておりましたら、
バルトルシャイテスからの引用があるではありませんか。

写本に描かれた奇妙な動物は「貝殻のなかからあらわれでてくる」と
記述されていると。

ミニアチュールや時祷書を知らなかった若いころには読み飛ばしていた箇所でした。

本屋になり、Illuminated Manuscriptsの世界に触れることができたことは大きな幸せです。
3年ほど前、奇妙な動物がマージンに描かれた零葉を仕入れ損ねて、今でも思い出しては後悔・・


(写真は下に新入荷のバシュラール『空間の詩学』より。「学」の字が横向き。この本は活版!?)

空想の世界にひたっているだけでは哲学的論考を理解するのに限界があった・・とつくづく反省しながら、
それでもやはり若いころの心がはずんだ読書体験を思い出し、
嬉しい気持ちでいっぱいになって
しばし仕事の手がとまってしまいました。