2022/02/24 23:17
『雪の女王』は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが1844年に発表したメルヘン(Märchen, Fairy Tale)です。
谷間にそだつ バラの花
一日中あそびまわる 子どもたち
子どもと仲間 おさな子のイエスさま
ナオミ・ルイスがアンデルセンの原作をちぢめて編集した絵本で、内海宜子は冒頭の詩をこのように訳しました(1981年初版)。
幼いころ、意味もわからずこの詩にしびれていました。
カインの力強い挿絵によって本の中に引き込まれます。
一方こちらは、日本の1960年代の『雪の女王』。
長谷川露二という人による、まったくちがう造形表現です。またこれも山本藤枝の日本語訳が魅力的です。
ばらの花さく 谷まのおくにも
おさなごイエス おとずれたもう
(弊店在庫の本では1960年代ですが、もともとはもっと古い翻訳かもしれません。)
ところで、『雪の女王』では、
薔薇が大切なモチーフですが、他にもたくさんの花々が登場します。
花が咲き誇る庭も良いですが、春を待つ庭も良いなあと思います。
わたしは去年の秋はチューリップやムスカリを植えそこねましたが、すみれだけは春になると毎年元気に生えてきて咲いてくれるので期待しています。冬の晴れ間の土に、何かが出てくる気配を感じるのは楽しいです。
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ちなみに、
下の写真は戦前の岩波文庫の『アンデルセン自伝』(昭和12年、訳は大畑末吉))です。
ヨーロッパ各地に滞在したアンデルセン。同時代人の交友関係に意外な人の名前が次々と飛び出し、驚かせられます。
最後に、長編小説『即興詩人(1835年)』より、
前々々回の貝殻の拙ブログに関連づけて、「銅板畫」つまり「銅版画」の登場する森鴎外の名訳冒頭(春陽文庫、昭和7年)を以下にご紹介します。
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じつは、金沢へ来て12年たちました。
今日は朝は雪でしたが、夕方は晴れた不思議な日でした。
昨日は13年目を祝して、近所のビストロユイガさんで御馳走をいただきました!
窓の外でしずかに雪が降るなか、幸せなひとときでした。